ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

from 米国 津山恵子Keiko Tsuyamaニューヨーク在住ジャーナリスト 月1日のアイオワ州党員集会で、今年の米国最大のイベント、大統領選挙の予備選挙がいよいよ始まる。 この記事を書いている前日(1月31日)の同州での支持率は、共和党候補で実業家のドナルド・トランプ氏が28%でトップ。テッド・クルーズ上院議員が23%で追随する。民主党候補は、ヒラリー・クリントン前国務長官が45%、バーニー・サンダース上院議員が42%と僅差だ(同州地元紙「デモイン・レジスター」とブルームバーグの調査による)。 今回の選挙の特徴は、伝統的な候補者が思いの外苦戦している点だ。選挙戦が本格化する前までは、大統領にふさわしいとされるキャリアを持つヒラリー・クリントン氏と、元フロリダ州知事でブッシュ前大統領の弟、ジェブ・ブッシュ氏が、予備選挙による指名候補として有力視されていた。 しかし、現在テレビニュースで一番話題なのは、トランプ氏とサンダース氏だ。両氏とも「反政府主義者(インサージェント)」と呼ばれ、これまでの大統領選挙であれば、「泡沫候補」となってしまう可能性が大の2人だ。 なぜなら、トランプ氏は政治家としての経験は皆無で、扇動的な大衆主義者。対するサンダース氏は、上院議員歴は長いものの、自らを「民主社会主義者」と呼び、クリントン氏のような民主党の本流ではないからだ。 特に多くの人が理解できないのは、女性差別や移民差別の発言が続いても、トランプ氏が共和党候補のトップ支持率を得ている点だ。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、彼の支持者は「所得が低い」「教育レベルが低い」「投票には行かない」白人が多いという。 彼らは、国や社会、経済をリードする高学歴・高所得の支配層とは相いれない意識を持ち続けてきた。そこに、暴言を吐きながらも「アメリカを再び偉大な国にする」という分かりやすい言葉で、身近な存在であると思わせるトランプ氏が現れた。こうした人々は、伝統的な支配層の候補者は気に入らなかったため、従来は投票にすら行かなかった。その声なき格差社会の底辺の人たちが、トランプ氏に自分たちの声を見いだしたというわけだ。 一方、サンダース氏も、同じように投票に行かせるのが困難だった若者層を引き付けている。「ウォール街も、支配層もない、市民の市民による市民のための選挙だ」(同氏)という社会主義的な平等の思想は、リーマンショック以降、大学を出ても就職できないなど、既存の体制からはじかれていた若者たちを虜にしている。「サンダース氏は、私たちの声に耳を傾けて、本当に大事な問題に取り組んでくれる」とテレビのインタビューでコメントする女学生。低学歴ではないが、伝統的な候補者には見放されてきたと思っている世代だ。トランプ氏同様、サンダース氏も隠れていた有権者を発掘した。 日本人には理解しにくい「トランプ旋風」は、実は米国の格差問題から生じた現象だといえる。トランプ氏は、女性、若者、移民という重要な浮動票をつかむことはできないだろう。しかし、今の彼の支持者がどこまで彼を支え続けるのか、統計的には未知の世界でもある。格差問題から生じた「トランプ旋風」現象鍵握る〝隠れた?有権者アイオワ州の討論会で語るサンダース氏(左)。もし当選すれば初のユダヤ人大統領になる2AP/アフロ週刊ダイヤモンド 2016/02/13 20