ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

23 週刊ダイヤモンド 2016/02/13Market市場加藤 出東短リサーチ代表取締役社長異論百出金融Moneyこれから預金金利はどうなるかマイナス金利〝先輩?欧州の実例 本銀行は金融機関が日銀に預ける超過準備(法定基準を超えて日銀に預けている資金)の一部に、マイナス金利を適用する政策を決定した。 ユーロ圏、スイス、デンマーク、スウェーデンでも中央銀行が超過準備にマイナス金利を課す政策を行っている。先行事例である欧州では預金金利はどうなっているのだろうか。「これはスキャンダルだ。恥知らずな行為だ」。昨年6月、スイスの年金基金協会会長はそう言って怒りをあらわにした。大手銀行が大口預金にマイナス3%を適用すると発表したからだ。その大手銀行の幹部は、マイナス金利政策と金融規制強化のコストを顧客に転嫁せざるを得ないと釈明していた。 デンマークでは、保険会社・年金の口座は昨年1月ごろから、非金融企業の口座は昨年4月ごろから金利がマイナス圏に入った。預金の目減りを嫌う企業の中には、法人税を早めに多めに納め、後で還付請求する傾向が表れている。 一方、個人の預金は機関投資家や企業の預金と違って金額が小さく、マイナス金利になると現金の引き出しが広がりやすい。このため、欧州でも個人預金がマイナス金利になっているケースは例外的だ。銀行経営者は「個人から利息を徴収しようとしても、理解は得られない」(スウェーデンの大手銀行幹部)とちゅうちょしている。 日本でも個人預金がマイナス金利になる確率は低い。ただし、日銀が金融機関に課すマイナス金利を引き下げていく可能性があると、黒田東彦・日銀総裁が強調しているため、機関投資家や企業の大口預金がいずれマイナス金利になる可能性は否定できない。 とはいえ、日本では金融機関同士の競争が欧州よりも激しく、顧客へコストを転嫁しにくいため、マイナス金利になるペースは欧州よりも遅いと予想される。なお、欧州ではATMの手数料引き上げや、新たな手数料導入が見られる。そういった動きは日本でもいずれ出てくる可能性がある。 欧州の中銀も日銀も、マイナス金利政策の真の意図は為替市場での自国通貨への上昇圧力を和らげることにある。しかし、いずれの中銀も、銀行が個人預金をマイナス金利にしなければならないほど超過準備へのマイナス金利を引き下げてはいない。副作用の拡大を警戒しているからである。 しかし、経済学者からは、次のような対策で紙幣をマイナス金利にしてしまえば、個人預金もマイナス金利にできるとの主張が聞かれる。 ①国民に印紙を購入させ、それを貼らなければ紙幣は法定通貨にならないと宣言する、②中銀が紙幣のシリアル番号の末尾1桁の数字を発表し、その紙幣は無効になると宣言する(その宣言を1回行えば、今年の紙幣の利回りはマイナス10%)、③現金を全廃して電子マネーに移行する、④銀行が中銀に預けた準備預金を現金として引き出す際、交換比率を1対1にはせず、一部を徴収する。 こうして見ると、現金引き出しを防ぐ上記の手段は、結局は国家による増税あるいは財産没収といった強権発動となる。それを実行した政権は、次の選挙で苦戦する可能性が高いだろう。 また、本誌1月30日号の本欄でも触れたように、マイナス金利で国民に〝ムチ?を打っても、多くの国民は消費を増やすのではなく、かえって不安を感じて防衛的になると思われる。マイナス金利政策の効果に過大な期待を持つべきではない。1月29日、金融政策決定会合でマイナス金利政策の導入を決め、会見で説明する日本銀行の黒田東彦総裁REUTERS/アフロ日