ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

特集地政学◯超入門いって、マッキンダーの理論を否定するのは間違っています。 現代でもやはり、重要なのは地理です。例えば、事件を起こしたテロリストは、山岳地帯に逃げます。日本人は、地図を平面で見ていますが、立体で見ている国はこの問題の難しさをよく理解しています。いくら空から激しい爆撃を続けても、チェチェン紛争(1994?96年、99?09年)でも、アフガニスタン戦争(01年?現在)でも、思うように成果を上げられていな多額の資金を提供されて、国家が傭兵のようになっています。こうした動きは、近代的な枠組みの中でも、また国家のインテグリティという意味においても、以前には考えられなかった事態です。〝半島国家?は周辺の大国に振り回される││そうした変化の中で、あらためて地政学が注目されています。 今日、目の前で起きている国際情勢を読み解くためには地政学が必要になります。地理という要素は、人間の長い歴史の中でも簡単には変化しないものだからです。 とりわけ、19世紀後半?20世紀前半に研究が盛んだったH・J・マッキンダーの〝古典地政学?が重要になります。「人類の歴史はランドパワー(陸上勢力)とシーパワー(海洋勢力)の闘争の歴史である」というものです。 一昔前までは、「マッキンダーの地政学は、現代では有効性を失っている」と言う人たちがいました。確かに1900年代初頭の世界とは異なり、現代の人々は飛行機に乗って自由に空を飛べますし、さらに宇宙空間までも使えるようになっています。しかし、だからと31 週刊ダイヤモンド 2016/02/13REUTERS/アフロ米国は、宇宙空間から世界各地の監視を続ける。だが、事件を起こしたテロリストがアフガニスタンなどの山岳地帯へ逃げてしまえば、そう簡単には捕まえられなくなるさとう・まさる/元外務省主任分析官・作家。1960年、東京生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。外務省時代は、対ロシア外交の最前線で活躍する。自らの逮捕・起訴経験などを基に、幅広い分野で言論・執筆活動を続ける。││現在進行中の第3次世界大戦とは、どのようなものですか。 例えば、2015年9月にキューバを初めて訪問したローマ法王のフランシスコ1世は、世界各地で紛争が起きている状況について「第3次世界大戦の様相を段階的に帯びているこの世界には和解が必要だ」と発言しました。そして、11月にパリで同時多発テロ事件が起きた際には、「すでに第3次世界大戦が始まっている」という認識をあらためて示しました。 第3次世界大戦の特徴は、①宗派戦争であること、②サイバー戦争であること、そして③段階的に進んでいくこと、です。段階的とは言うなれば、〝花粉症?のようなもので、花粉症でなかった人でも少しずつ花粉が蓄積されて、ある日突然、発症するのです。 サウジとイランの国交断絶は、「花粉症になって、今はちょっとくしゃみが出て鼻水が止まらない状態にある」といえるでしょう。││その動きを受けて、イランと国交を断絶した国もあります。 例えば、スーダンです。この国は、長らく反イスラエルのイランの求めに応じて、イスラエル国内のガザ地区に武器や兵器を運んでいました。つまり、イスラム原理主義組織のハマスに戦争の道具を供給していたということです。 ところが、その後、イエメンで紛争が激化してからは、スーダンは反イランであるサウジに寝返りました。スーダンは、サウジからShinichi Yokoyama