ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

Special Feature 2次世界大戦後の日本において、地政学は「禁じられた学問」だった。戦前までは、日本でも京都大学などで研究がなされてきたが、戦後は連合国軍総司令部(GHQ)の命令で地政学を研究すること自体が禁じられた。GHQは、地政学的な要素を含む関係書籍をリストアップし、戦後の日本から抹殺してしまったのである。 最近でこそ、地政学という言葉はメディアをにぎわす機会が増えているが、これまでほとんどの日本人にとってなじみがなかったのには、こうした背景があった。なるのが地政学だ。地政学的な観点を参考にして、その国に固有の大戦略が決定される。それから、戦争が始まるという順番になる。ヒトラーが信奉し研究が盛んになるも戦後は〝タブー視〟 世界で初めて地政学という言葉を使ったのは、スウェーデン人のないところか。 では、地政学はどういう局面で必要になるのか。下の図を参照してほしい。日本に少ない地政学・戦略学者である奥山真司氏が、恩師の英レディング大学大学院のコリン・グレイ教授から直伝された「戦略の7階層」の概念図だ。 戦後、GHQが日本に研究を禁じたくらいだから、当然、地政学は戦争との関係が深い。奥山氏は、「地政学を一口で言えば、戦争ではなく、大戦略のこと」と言い切る。 図を上から見ていこう。まず、ビジョンとしての世界観(自分たちは何者か。どんな役割があるか)がある。次に、ポリシーとしての政策(だから、こうしよう)が決められる。その政策を基に、グランド・ストラテジーとしての大戦略(そのために、国家の資源をどう使うか)が決まる。 この大戦略を決める際に必要に そもそも地政学とはどのような学問・研究を指すのか。そのエッセンスだけを抽出すると、「地理的な位置関係が国家の政治や経済、軍事などに与える影響を多面的に分析する・研究する試み」になる。「学」と付いているが、経済学のように知識が体系立てられているわけではなく、誰でも分析できるようなモデルが整理されているわけでもない。学問というより、アイデアの集合体のようなもので、目の前で刻々と動く国際情勢の変化に合わせて適宜修正を加えていくという〝動的〟な性格を持つ。 そういう分野であることから、既存の実証主義的な学問とは相いれず、論理的に飛躍することすらある。そのために、「えせ科学」といわれることもあるが、扱っている対象が〝生もの〟なのだから、それも致し方地政学における〝戦略の7階層?1 世界観/Vision2 政策/Policy大戦略/Grand Strategy 地政学が最も必要になる領域米国や中国が得意とする領域戦後の日本が得意としてきた領域(具体的なものづくりなど)「そのために、国家の資源をどう使うか」「では、現在ある軍隊の力でどう勝つか」「いつ、どこで、どのような戦いをするか」「戦闘では、どのような戦術で戦うか」「勝つために、どのような技術を使うか」「だから、こうしよう」(何をしていくか)「自分たちは何者か。どんな役割があるか」34 軍事戦略/Military Strategy5 作戦/Operation6 戦術/Tactics7 技術/Technology*奥山真司氏による分類を基に本誌編集部で加筆大戦略は、軍事戦略の先にくる概念週刊ダイヤモンド 2016/02/13 34Universal Images Group/アフロ地政学には、アドルフ・ヒトラーが信奉したことから、ユダヤ人の大量虐殺など"負の固定観念"が付きまとう。戦後は、「禁断の学問」として、長く封印されていた戦後の日本では禁断の学問地政学は「大戦略」のツールインターネットの時代になっても、人間が地球上で生きている限り、地政学的な考え方の重要性が低下することはない。そもそも地政学という学問は何か。その歴史と意義を探ってみた。第