ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

特集地政学◯超入門争』には、地政学的な言い回しが実にたくさん登場する。 政権獲得後のナチスは、地政学的な条件を絶対視した。当時、活躍したドイツ人の地政学者のカール・ハウスホーファー(1869?1946年)は、地政学におけるヒトラーの指南役であり、著作は日本でも紹介されていた。 だが、地政学は「ヒトラーが信奉していた学問」だったことが災いし、負のイメージと共に世界中でタブー視されるようになる。 そして、ドイツで研究されていた地政学は米国に渡る。米国でも地政学はタブーだったが、東西冷戦の中で、独自の研究が進められた。国家の大戦略を考える上では、どうしても地政学的な見方が欠かせないことから、米国のパワーエリートの間では連綿と研究が引き継がれていたのである。地政学の概念は企業の活動にも〝転用?できる 翻って現在。地政学は、米国、ロシア、中国では、途切れることなく、研究が続けられている。 そうした中で、日本はいつまでも地政学を放棄したままでよいのだろうか。地政学的な見方ができ学の開祖?である英国人の地理学者H・J・マッキンダー(1861?1947年)だ。彼の仕事は、後世に多大な影響を及ぼした。 代表的な仮説を順に挙げると、「世界は閉鎖された空間になった」「人類の歴史はランドパワー(陸上勢力)とシーパワー(海上勢力)による闘争の歴史である」「これからの時代はランドパワー優位の時代になる」「東欧を制する者が世界を制する」などがある。 例えば、今日でも中東が紛争の火種になりやすい理由は、ランドパワー国家とシーパワー国家が交差する地域であると説明ができる。なぜ、交差するかといえば、交通の要衝(通り道)があるからだ。 こうした要衝は、現代では「チョーク・ポイント」とも呼ばれる。チョークとは「絞める」という意味だ。人間は重要な器官がある首を絞められると死んでしまうことに例えている。上図は世界の代表的なチョーク・ポイントである。どこの航路も、封鎖されたら物流の流れが止まり、経済活動に甚大な影響を及ぼすことになる。 このような地政学的な考え方を国家の公認イデオロギーにしていたのが、ナチス・ドイツ(1933?45年)だった。アドルフ・ヒトラーが獄中で書いた『我が闘知られている。国家を生物と捉えた点が重要で、それを地理の分析を通して解明しようとした。 その後、地理と政治の関連性の研究を通じて数々の基本コンセプトを打ち出したのが、〝現代地政政治学者・地政学者のルドルフ・チェーレン(1864?1922年)だった。彼は、地政学という概念を「国家を地理的な有機生物、もしくは空間における現象として考える科学」と定義したことでも代表的なチョーク・ポイントマゼラン海峡英国海峡喜望峰*取材を基に本誌編集部で作成政治・経済に大きな影響を与える〝世界の関所?ジブラルタル海峡ボスポラス海峡重要とりわけ重要スエズ運河バブ・エル・マンデラ海峡ホルムズ海峡マラッカ海峡パナマ運河日本の輸入原油の約80%はマラッカ海峡を経由世界の貿易の97%以上は「海運」が担っている35 週刊ダイヤモンド 2016/02/13