ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

特集地政学◯超入門日本とドイツが暴走した。今こそ金本位制を復活し、関税を引き下げて貿易を自由化しよう」。 こうして、米国主導で確立されたのが、ブレトンウッズ体制(金・米ドル本位制)です。 金1?(約30㌘)を35㌦として固定し、米ドルと各国通貨との交換比率を固定(日本とは1㌦=360円)しました。 戦後、日本や西ドイツが奇跡的な経済復興を遂げたのも、この体制下で円安、マルク安が固定され、輸出に有利だったからといえます。 しかし、日独との価格競争に敗れた米国は、70年代に貿易赤字国に転落。80年代には債務国になってしまいます。米国は、自由貿易体制を維持しつつ自国の産業を守るため、金とドルとの交換を停止し(71年のニクソンショック)、意図的にドル安誘導(85年のプラザ合意)を行いました。 こうしたドルの一極支配にチャレンジしたのが欧州統一通貨のユーロ、英国のポンド、中国の人民元です。中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)設立に欧州諸国が雪崩を打って参加したのも、世界経済が多極化へ向かっているからです。もはや覇権国家というシステム自体が成立しなくなっているのかもしれません。国も多額の戦費を費やし、大戦が長引くにつれて財政が苦しくなります。武器も石油も輸入に頼らざるを得ず、金の流出を懸念した英国政府は、金とポンドの交換停止(金本位制の停止)を宣言します。 ここで英国が頼ったのが米国でした。米国は中立国として各国に武器を輸出する「世界の工場」となり、軍需景気に沸きます。 米国の大銀行は英国政府の戦時国債を引き受け、彼らの圧力に屈したウィルソン大統領は、英国支援のため参戦します。英国が敗れ、英国国債が紙くずになることを恐れたのです。 武器等の貿易代金の支払いと戦費の償還金という形で多額のお金がニューヨークに流れ、世界の金融の中心はロンドンのシティからニューヨークのウォール街へと移り、米国は世界最大の債権国として君臨することになりました。 米国は第2次世界大戦を経てさらに力を増します。欧州の戦場から遠いという地政学的メリットのため、工場はフル稼働状態で武器を輸出。いわば米国は2度の大戦で〝棚ぼた?的に覇権国家の地位を得たわけです。 一方で、大戦の戦禍を見た米国は反省します。「各国が金本位制から脱し、貿易がストップしたから 75年前、日本はなぜ無謀ともいえる太平洋戦争(1941?45年)に突入してしまったのか。その理由は、エネルギーの調達という観点から見れば、明らかになってくる。 明治時代初頭、当時の日本のエネルギー源はまだまきだった。それが英国から遅れること100年の19世紀後半から、日本でも産業革命が起こり、まきから石炭の時代に。九州や旧満州で石炭の採掘が始まった。 しかし石炭は重く、燃料として多く積めない。船で移動する際は各地の港や島に補給基地を置く必要があり、コストが掛かる欠点がある。 一方、世界では米国等で石油の採掘が行われ、ガソリンエンジン等の内燃機関の改良が進んでいた。そして、燃料として本格的な重油の使用が始まっていたのだ。 そこで日本海軍も重油型の戦艦を投入し戦力の強化を図った。中東が未開発だった当時、日本の石油調達先は米国だった。 ところが米国と日本は中国での利権をめぐり対立。日中戦争が始まると、米国はベトナム経由で中国に武器を送り、中国を支援する。日本はその武器供給ルートを封鎖すべくフランス領インドシナに進駐した。 そうなると石油を握る米国は黙っていない。すぐさま日本への石油供給を停止。効果的な作戦だ。困った日本軍は、油田のあるスマトラ島とボルネオ島に侵攻することになる。 そこにまたリスクが生まれる。採掘した石油を日本に運ぶためには台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡を通る必要があるが、ここにフィリピンに駐留する米軍が待ち構えており、通過できなかったのだ。 当時、新たな調達先を確保できなければ日本の石油は1年で枯渇するといわれていた。日本軍は、眼前の敵である米国と戦わざるを得ない状況になった。そこでフィリピン駐留米軍の本部があるハワイを攻撃したのである。つまり、真珠湾攻撃に至った原因は石油だったのだ。 日本は大戦の反省から戦後は石油依存から脱すべく原子力発電を推進するも、2011年の福島第1原発の事故により原発の安全神話が崩壊。現在は中東の石油にエネルギー源を頼っている状況だ。中東の混乱は、決して人ごとといえないのである。Column日本の弱点はエネルギー調達石油が招いた真珠湾攻撃41 週刊ダイヤモンド 2016/02/13