ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

Special Feature照)。これが基となり、67 年には欧州共同体(EC)が発足する。 80年代に入ると西欧は高成長を続ける日米の後塵を拝するようになる。そこで単一の大市場を創設し、日米に対抗しようと考えた。商品、サービス、資本、人が域内を自由に移動できる国境のない地域の実現に向け動きだしたのだ。 そのさなか、欧州に激震が走る。89年、ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが統一に向けて動きだしたのだ。これが欧州のブロック経済化と通貨統合の大きな転換点となった。 東西統一によってドイツがECから抜けて独り歩きすることを恐れたEC諸国は、何とかドイツをEC内に取り込もうとした。そのためには、ドイツに通貨マルクを放棄させ通貨同盟に加える必要がある。そこでECは、マルク放棄の見返りとして、統一通貨の制度設計を西ドイツ流にすることを約束した。今日、ユーロ圏においてドイツが大きな発言力を持つ背景には、こんな事情があったのだ。 東西ドイツ統一がもたらしたもう一つの転換点は、ソ連崩壊による東欧諸国の取り込みだった。本来、政治思想も経済状態も異なる東欧諸国は、EUの理念とは相いれない。だが、グローバル資本主義の下、安価な労働力と大きな消費市場を持つ東欧を西欧の企業が放っておくはずがなかった。 こうして2000年代に東欧諸国が続々とEUに加盟し、EUは加盟国間の経済格差を抱えつつ膨張していった。現在、難民受け入れなどをめぐって西欧と東欧の溝が埋まらないのは、EU内に大きな経済格差があるからだ。「EUやユーロは20世紀の制度で、21世紀の危機を想定していない」(田中素香・東北大学名誉教授)。それ故に、欧州危機は何度も再燃するのだ。欧州が宿願であるブロック経済圏と通貨統合を実現するためには、21世紀型の制度を構築する必要がある。 015年7月、欧州連合(EU)と統一通貨ユーロは、創設以来最大の危機に直面していた。財政危機のギリシャへの金融支援を議論するユーロ圏首脳会議で、ドイツが「ギリシャは改革する気がないなら、5年間ユーロから離脱すべきだ」とギリシャに迫ったのだ。 ギリシャのユーロ離脱に反対する国々はドイツの行動に反発し、交渉は決裂寸前となった。最終的にはギリシャが譲歩することでドイツもユーロ離脱案を引っ込め、ユーロの空中分解は回避された。 なぜドイツは、EUやユーロを危険にさらす強硬論を唱えるのか。その背景を知るには、欧州の地域統合の歴史をひもとく必要がある。 第2次世界大戦で大きな打撃を被った欧州は、二度と戦争を起こさないため、その原因となる石炭や鉄鉱石の共同管理を目的に、1952年、欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)を創設した(下表参2欧州内の対立は東西ドイツ統一に起因欧州の地域統合の歴史1952年58年67年79年90年93年99年2002年09年16年欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)発足欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(EURATOM)発足ECSC、EEC、EURATOMを統合、欧州共同体(EC)発足欧州通貨制度(EMS)スタート東西ドイツ統一単一市場始動、欧州連合(EU)発足統一通貨「ユーロ」導入ユーロ流通開始ギリシャショック隠蔽されていた巨額の財政赤字発覚英国でEU残留か離脱かを問う国民投票実施予定二度と戦争を起こさないため、その原因となる石炭や鉄鉱石の共同管理を目的に創設翌91年にはソ連が崩壊し、西欧とは政治的にも経済的にも異なる東欧が、欧州に加わるドイツはマルクを放棄して通貨同盟に加わる見返りとして、西ドイツ流の統一通貨の制度設計を約束させた2010年以降、ユーロ危機、EU分裂危機が顕在化週刊ダイヤモンド 2016/02/13 42欧州の壮大な実験の行方は?ブロック経済圏と通貨統合1930年代に英国やフランスが進めたブロック経済化は、結果的に第2次世界大戦につながり失敗に終わった。現在、欧州は再びブロック経済化を進める。果たしてその成否やいかに。