ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

Special Featureなくシリアやエジプト、ペルシャやインド方面にまで勢力を広げた。なぜ、生まれたばかりの宗教が、そんなスピードで広まったのか。 勢力拡大の手法は、もっぱら近隣のユダヤ人やアラブ人など異教徒たちとの「聖戦=ジハード」である。 コーランには、下図の通り、「アッラーも最後の日も信じようとせず、アッラーと使徒の禁じたものを禁断とせず、また聖典を頂戴した身でありながら真理の宗教を信奉もせぬ、そういう人々にたいしては、先方が進んで貢税を差出し、平身低頭して来るまで、あくまで戦い続けるがよい」という物騒な記述がある。現代も、この異教徒に対するジハード主義がイスラム過激派の行動原理とされているが、本来は必ずしも異教徒を完膚なきまでたたきのめすものではない。 例えば重い人頭税と土地税に苦しんでいたローマ帝国の領民には、イスラム教への改宗を条件に人頭税(ジズヤ)を免除した。逆に改宗せずに服従した場合には人頭税を課したのである。その方針は「剣か、コーランか、人頭税か」という表現で広く知られている。『超訳ニーチェの言葉』など、宗教と哲学に関する多くの著作を持つ評論家の白取春彦氏によれば、「イスラム教徒は、人頭税を課すのは異教徒庇護のためと表向きでは言うが、かなり屈辱的な形で暴力を用いて直接的に徴収した、とイスラム教学者たちが認めている。ユダヤ人などは収入の半分を支払わなければならなかったという記録がある」という。 むしろイスラム教徒が異教徒と戦うのは、税金徴収という〝金目当て〟でもあった。経済力を確保しながら支配地を拡大するというのが、短期間での急拡大の秘訣だったのである。 驚くべきは、現代でもその考えが生きていることだ。2014年、過激派組織「イスラム国」(IS)は、イラク北部のモスルに住むキリスト教徒3万5000人に「改宗するか、人頭税を払うか、街を出るか」と迫った。米CNNテレビによると、1世帯につき55万イ 史上で世界の覇権を握ってきた国々は、必ずよりどころとなる宗教を持っていた。そして、覇権の基盤となる経済力の背景には、やはり「宗教的な価値観」がある。「多神教、あるいは無神論が根付き、一生懸命働いてお金を稼ぐことを最大の価値観にしてきた日本人は、欧米におけるキリスト教はまだしも、イスラム教の価値観などをこれまであまり重視してこなかった。だが、これらの宗教の価値観や行動原理を、〝常識〟として学ぶ必要がある」と、比較宗教学を専門とする保坂俊司・中央大学総合政策学部教授は話す。 三大宗教として並び称される「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」だが、その発生時期を見ると、イスラム教は、開祖である預言者ムハンマドがメッカで神の啓示を受けたのは610年ごろと最も新しい。ところが、約20年後にはアラビア半島をほぼ統一し、程三大宗教のお金に関する教えユダヤ教「金持ちが貧乏な者を支配する。借りる者は貸す者の奴隷となる」 (『旧約聖書』[新共同訳] 箴言 22章7節)「外国人には利子を付けて貸してもよいが、同胞には利子を付けて貸してはならない。それは、あなたが入って得る土地で、あなたの神、主があなたの手の働きすべてに祝福を与えられるためである」(『旧約聖書』[新共同訳] 申命記 23章21節)キリスト教「富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない」(『新約聖書』[新共同訳] マタイによる福音書 6章20節)「金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい」(『新約聖書』[新共同訳] マルコによる福音書 10章25節)イスラム教「アッラーも最後の日も信じようとせず、アッラーと使徒の禁じたものを禁断とせず、また聖典を頂戴した身でありながら真理の宗教を信奉もせぬ、そういう人々にたいしては、先方が進んで貢税を差出し、平身低頭して来るまで、あくまで戦い続けるがよい」(『コーラン』[井筒俊彦訳] 9章29節)週刊ダイヤモンド 2016/02/13 44ユダヤ、キリスト、イスラムこんなに違う宗教と経済観世界三大宗教といわれるユダヤ教、キリスト教、イスラム教にはお金にまつわる教えが多い。そこから生まれた「経済観」は、それぞれの宗教を信じる国民や民族の経済力として表れる。歴