ブックタイトル週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

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概要

週刊ダイヤモンド16年2月13日号_試し読み

Special Feature││地政学とはどのような学問なのでしょうか。「地政学」と文字にすると何だか小難しい学問のように感じますが、簡単に言えば「国は引っ越せない」ということです。引っ越せないことを前提に、政治や経済や外交を考えてみましょう、というのが地政学です。 私が地政学を学び始めたのは、京都大学時代に恩師の高坂正堯先生から教えていただいたのがきっかけでした。講義の中で、地政学の両巨頭であるマッキンダーとマハンについて学び、興味を持ちました。 よく地政学は複雑で難しいといわれますが、その原因は歴史に対する理解の浅さにあると思います。大まかにでも世界史を勉強しておかなければ、地政学を理解するのは難しいでしょう。││日本人は歴史に弱い国民だといわれます。 その通りです。だから地政学にも弱い。私は、日本人は歴史だけではなく、宗教や他の学問においても教養が少ないと思います。なぜかというと、他国に比べて圧倒的に勉強の時間が短いからです。これは客観的な数値に表れています。 例えば、大学進学率。日本人の感覚では「大学に行くことが当たり前になった」と思いがちですが、OECD(経済協力開発機構)加盟国と比較すると、平均の約60%に対し日本は50%程度と下回っています。大学に行かないと教養を身に付ける機会も少ないですよね。  加えて、日本人は大学に行っても勉強をしません。そりゃあそうです。就職の際に、成績表を提出しないのですから。評価されないのに誰が勉強するのか、という話です。だから日本人にとって大学は単なる通過儀礼になってしまっています。 これは昨年ツイッターで話題になったのですが、米国の大学生が在学中に約400冊の本を読むのに対し、日本の大学生は100冊しか読まないそうです。この300冊の差が社会人になってから出るのは当然です。 それからもう一つ、日本の大学が他の先進国と異なる点は、大学院への進学率が低いことです。海外ではいったん就職をしても自分がまだ勉強し足りないと思えば、大学院で学び直すことは一般的です。 例えば先進国の多くで25歳以上の大学院進学率が平均で2割を超えるのに対し、日本はたったの2%程度です。大企業の新卒の青田買いや人事制度の硬直化により、日本人に勉強をさせない悪習慣が定着してしまっているのです。││一般のビジネスマンが世界史や地政学を学ぶことにどのような意義があるのでしょうか。 10年前であれば別ですが、今の時代に「英語を使うなんてけしからん。日本人なら日本語でビジネスをやるべきだ」と言う人はいないでしょう。 仮に言ってみたところで、世界のビジネス環境において英語はデフォルトになっており、変えることはできません。だから皆、嫌々でも英語の勉強をしているわけです。 私は世界史や地政学も同じだと思います。世界のビジネスマンは大学で一生懸命勉強をして、社会に出ても勉強を続け、教養を身に付けている。われわれが彼らと対等に商売をしようと思えば、勉強をする以外に方法はないと思うのです。 グローバル化の時代を迎えていることは今や誰も否定できません。日本企業に勤めていても、外国人との交渉は必然的に増えています。そんな中で、歴史も地政学も知らないとどうなるでしょうか。交渉相手から下に見られ、交渉を有利に進めるのが困難になることは必至です。 もちろん交渉は教養だけで決まるわけではありません。しかし、人とのコミュニケーションにおいて雑談は非常に重要です。人は雑談を通して相手の力量を測るからです。 私自身、世界史を学んでおいてよかったという経験があります。ロンドンで勤務していたとき、出張先のアイルランドで取引先と飲みに行く機会がありました。 すると、アイルランド人はイングランドの悪口ばかり言うのです。私はたまたまイングランドとアイルランドの歴史問題を知っていたので、話を合わせて仲良くなることができました。しかし、歴史を知らなければ、彼らがなぜイングランドを嫌うのかが全く理解できず、彼らを怒ら日本人には教養が足りない勉強は「世界史」から始めよ今や必須教養となりつつある地政学だが、何から始めればいいのか分からない人も多いだろう。ビジネス界きっての教養人であるライフネット生命の出口治明会長に、そのこつを教えてもらった。Interview週刊ダイヤモンド 2016/02/13 46